伊勢原市の三段の滝が枯れて周辺住民が混乱!原因は高速道路の工事?
自然環境は絶妙なバランスによって保たれています。
人間の活動によるちょっとした変化でも、自然には大きな影響を与えてしまうことがあるのです。
神奈川県伊勢原市の三段の滝も、人間の活動の影響によって大変な状態となってしまいました。
三段の滝で何があったのでしょうか。
伊勢原市「三段の滝」の水が枯れた!
神奈川県の中央に位置する伊勢原市には「三段の滝」と言われる滝があります。
三段の滝は、栗原川上流に存在し、高さは5メートルほど。
伊勢原市内の名所の一つとして知られていました。
しかし、三段の滝の水が2018年の夏ごろから枯れてしまったと話題になっています。
7月の末ごろに市民から栗原川の水が減っている、と通報があり、事態は発覚しました。
栗原川や三段の滝は山の湧き水が源流で、その湧き水が減少したことで滝が枯れてしまったと考えられていました。
そして、その湧き水が減少してしまった原因については、ある出来事が関係している、とわかりました。
それは付近で行われていたトンネル工事だったのです。
原因は新東名高速道路?
三段の滝の水がなくなってしまった当初、市は新東名高速道路のトンネル工事が原因かどうかは不明であるものの、影響している恐れはある、としていました。
しかし、2019年の3月18日に「高取山トンネル」の影響で、周辺の地下水がトンネル内に流れ込んだことが原因だと、市が発表しました。
地質の状況を調べたところ、トンネルより高い位置にあった滝の水源が、低い位置を通るトンネル内部に流出している状態だったようです。
これにより、配水管を使って三段の滝の上部に水を流すことや、栗原川上流に井戸を4カ所設置するなどの応急措置が取られました。
新東名高速道路は、神奈川県海老名市から静岡を経由し、愛知県豊田市へとつながる高速道路で、東名高速道路の頻繁な渋滞や走行速度低下を防ぐために計画されました。
三段の滝に影響してしまったトンネルについては、2017年の6月に着工し、2020年度に完成を予定しています。
また、この事態によって近隣の住民はかなり混乱している様子です。
既に様々な影響が
水が枯れてしまったことで、まず懸念されたのは農業への影響でした。
近隣の農家は栗原川の水を使っていたため、今回の事態は致命的とも言えるでしょう。
農家にとって、水が使えないことは大きな問題であり、生活にも直結することのため、不安な日々を過ごすことに違いありません。
また、農業以外にも周辺住民にとって悪影響と言えることが起こりました。
三段の滝では、比々多神社による「酒解」と言われる神事が行われます。
その神事では三段の滝の水を神様に捧げ、商売繁盛を祈願するのですが、滝の水が枯れてはそれが成り立ちません。
伝統行事であるため、関係者は続けることを願っていますが、肝心の水が出ないのであれば、それは困難かもしれません。
人の生活は自然で成り立つ
私たち人間の生活は、自然の恵みを得て成り立っています。
三段の滝の件については、自らで自然を歪め、その恩恵を得られない状態にしてしまった、と言えるでしょう。
周辺の住民にとっては、生活に大きな影響があることは間違いありません。
工事を行う前の環境アセスメントが不十分であった恐れもあります。
このような事態が起こらないためにも、私たちは環境への負担を考えながら、生活をしなくてはならないでしょう。