北極もプラスチックによる汚染!雪に混じる廃プラの欠片
世界を震撼させるプラスチック問題ですが、その脅威は北極でも確認されています。 何と北極ではプラスチックの雪が降っているとまで言われているのです。
なぜ、ほとんど人の手が入らない北極で、そのような事態になってしまったのでしょうか。 北極を汚染するプラスチック問題をご紹介いたします。
北極にはプラスチックの雪が降る?
今、プラスチックによる環境汚染が世界中で問題になっていることは、多くの人が知るところです。 プラスチックは様々な場所で確認され、その影響が懸念されてきましたが、今回は人の手が加えられていない環境と言われる、北極圏で大変なプラスチック汚染が確認されてしまいました。
その発見は、ドイツとスイスの調査チームによるもので、学術誌「サイエンス・アドバンシス」で発表されました。 どんな内容なのかと言えば、北極圏では、雪に混じって小さなプラスチックの破片が降っている、という衝撃的なものでした。 その量は、1リットルの雪に対し、1万個以上のプラスチックの破片が混じっているというもので、科学者たちも衝撃を受けたそうです。
プラスチックの他には、ゴム片や合成繊維も発見されています。 それらは非常に小さいことから、どこから廃棄されたものかまでは特定できませんでしたが、雪に含まれて空から降り注いでいることは確かであると指摘されています。 プラスチックが人体にどのような影響があるのか、まだ詳しいことはわかっていません。 しかし、プラスチックの環境汚染に対し、私たちはより真剣に考える必要があると言えるでしょう。
参考:Science Advances White and wonderful? Microplastics prevail in snow from the Alps to the Arctic
北極までプラスチックがやってくる原因は?
なぜ、プラスチックの破片が北極まで移動できたのでしょうか。 北極海では、以前からマイクロプラスチックが蓄積していることは確認されていました。 しかし、雪に混じってマイクロプラスチックが降り注ぐような事態は驚くべきことではないでしょうか。
研究では、マイクロプラスチックが風で巻き上げられ、風に乗って北極まで移動したと考えられていますが、実際の原因は正確に判明していないようです。 プラスチックは深海やピレネー山脈にまで到達するほど、汚染の広がりを見せていますが、人の手が加わらない環境と言われる北極圏ですら汚染が広まっていると思うと、恐ろしいことではないでしょうか。
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ここ数年で問題視されることが多くなったプ
北極で発見されたものの大半は、欧州やアジア、世界中の場所から長距離移動してきたと考えられています。 中には有害な物質も含まれているため、周辺の生態系に悪影響を及ぼす恐れがあり、多くの人がこの事態を憂いています。
北極圏の海鳥もプラスチック汚染の被害に
このような、プラスチックによる北極圏の汚染は、既にそこに住む生物に影響が出ているようです。
カナダの北極圏にある、プリンスレオポルド島には、フルマカモメと言われる海鳥が生息しています。 このフルマカモメの卵を調査したところ、フタル酸エステルに対し、陽性反応を示したのです。 フタル酸エステルとは、プラスチックに使用されている化学物質です。
なぜ、これがフルマカモメの卵から検出されたのかと言うと、親鳥が食事のため獲物を探している最中に、プラスチックを誤食したことから、卵の中に添加物が含まれていた、と考えられています。 北極圏に生息するフルマカモメは、他の動物よりもプラスチックを誤食してしまう恐れは低いはずです。 それにも関わらず、彼らの卵からこのようなことが確認された、ということは、プラスチック汚染の広がりの恐ろしさを認識するには十分だと言えるでしょう。
参考:ScienceDirect Occurrence of substituted diphenylamine antioxidants and benzotriazole UV stabilizers in Arctic seabirds and seals
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地球全体に広がるプラスチック汚染
北極圏までがプラスチックに汚染されていることを考えると、それは地球全体に広がっていても不思議ではありません。 また、いつの日かプラスチックによる、さらなる悲劇が起こってしまうかもしれないのです。
私たちも少しでもこのプラスチック汚染を食い止められるよう、エコバックの使用やマイストローの使用などを試すと良いかもしれません。 できることから、少しずつチャレンジしてみましょう。