不要品回収業者とは?プロに聞いた利用のメリットや問題点(前編)

不要品回収業者とは?プロに聞いた利用のメリットや問題点(前編)

不要品が出てきたときに、頼りになる不要品回収業者。
不要品回収業者について、様々な話を聞くことがあると思いますが、果たしてその実態はどのようなものなのでしょうか。
今回、不要品回収業界をよりクリーンなものにするために活動している団体「JRRC」の岩楯氏にインタビューを行いました。
不要品回収業界の実態を前編・後編に分けてお伝えします。

適切な不要品回収を啓蒙する団体「JRRC」

――JRRCとは、どういった組織でしょうか。

岩楯学氏(以下、岩楯):端的に言って不要品回収事業者の集まりです。
正式な団体名は「一般社団法人 日本リユース・リサイクル回収事業者組合」と言います。舌かみそうな位に長いですね。
これを英語表記にすると「Japan Reuse Recycle Collection Association」となり、この頭文字をとって「JRRC」と短く言っています。
当団体が設立されたきっかけとなったのが2013年当時、誤解により環境省が「不要品回収事業者=すべて違法業者」と決めつけるような告知啓蒙を行ったことです。
確かにそのような一部の不心得者が存在するのも事実ですが、殆どの事業者は日々顧客ニーズとコンプライアンスとの狭間で知恵を絞り「適正処理を行う」にはどういう方法がよいのかを模索しながら事業活動を行っているわけです。
そういう事業者の努力を行政に知ってもらい、また行政が何を持って「違法」と判断するのかという点を事業者にわかりやすく伝える事の重要性が望まれ当団体が設立されました。

――どれくらいの方が登録されているのですか?

岩楯:現在、全国に約520事業者が正会員として登録されており、それ以外にも当団体の設立主旨に賛同いただいている事業者数は1600事業者を越えております。

不要品回収業者が社会にもたらす有益性

――普段は具体的にどのような活動を行っているのでしょうか

岩楯:私どもの活動は大きく分けて、行政に対する活動、消費者に対する活動、不要品回収事業者に対する活動の三つになります。
まず一つ目の行政に対する活動ですが、一例をあげると中央省庁や地方自治体との意見交換が挙げられます。
これは不要品回収事業者の存在は、社会にとって有益なものである事をアピールする場でもあり、また行政側が循環型社会の形成を目指して整備する法体系に関する考え方や、その施策をどのように実行しようとしているかを知る場でもあります。
こういった双方向の意思疎通を行える団体が、JRRC設立まで回収事業業界に存在していませんでした。

二つ目の消費者に対する活動ですが、時折一般消費者から直接当団体に問合せが入ります。
具体的な不要品回収の依頼であったり、不要品回収業者のポスティングチラシの内容に関する問合せです。
共通しているのは当団体へコンプライアンスを守っている事業者を紹介して欲しいという事です。
環境省の啓蒙活動、その他マスコミ報道などによって、消費者が「ボッタクられるのではないか?」等、この業界に対し不安からの問合せだと感じます。
他には、「リサイクル料金を払いたくないから、古い冷蔵庫を、ただで回収してくれる業者を紹介して欲しい」等の依頼が来ます。
そのような場合、私どもが消費者へお伝えするのは、「回収事業者も生業(なりわい)であってボランティアでは出来ませんよ。回収するには人件費やガソリン代などお客様へ直接請求できないコストが発生していて、リユース(再使用)品としての売却益からそれらをまかなう必要があるんです。リユース出来ない古い製品は国で定めた家電リサイクル法に則り処分することが必要なんです」といった主旨の啓蒙を行います。
本音は「消費者の方がコスト度外視で事業者に持って行けと強要することが不法投棄の遠因になり得るんです」と言いたいところですが、そこはやんわりと(笑)。

――なるほど。消費者に対する手応えのようなものは、どうですか?

そうですね、チラシ記載の事業者が当団体に加入しているかの確認もありますね。
「JRRCの正会員です」と回答したら「じゃ、安心ですね。頼んでみます」とお答え頂いた例も。
一般消費者への啓蒙は今後の大きな課題だと思います。
廃棄物処理法には、一般消費者への罰則規定が無いことから法律について知らない、身近に感じられない方が多いのです。そして、知らないが故に「この際なんでも頼んでしまえ」と事業者に対し「おれは客だ!」と高圧的態度で強要する消費者の存在があります。
今まで不要品(ゴミ)問題は「行政VS事業者」という側面がクローズアップしていましたが、もう一つ重要なプレーヤーである消費者の意識を変えていく必要性を痛感しており、当団体でも今後の活動テーマとして避けては通れないと認識しております。
実際、環境省に伺った時、「行政の方にも消費者に対する対応を考えていただきたい」と意見を申し上げました。
URの団地(独立行政法人が管理している公的な団地で、初期費用が格安であることなどのメリットがある)などでは外国人の方が増え、ゴミ集積所はひどい現状です。
家電4品目が野ざらしで捨ててある光景を良く目にします。
日本人だけにとどまらず、日本で暮らす人全てに対する啓蒙は喫緊の課題でしょう。回収事業者を目の敵にして叩いている場合では無い気がしますね。こういった課題に協力できるのが回収事業者だと思うのです。

――それでは、三つ目もお願いします。

三つ目ですが、前述の2つの対応の中で集めた事例などをメルマガなどの方法を使って会員皆様にお届けするという内容です。
設立当初は不要品回収事業者の中にも関連法令に疎い事業者が居たようですが、これも法令セミナーを重ね事業者の方々も自身で勉強され法規制の知識が高まってきたと思います。
それと共に、コンプライアンスを守ろうという意識改革も進んできました。当団体の会員が回収事業者の「手本」と広く認知されるようになれればと期待しています。
その為にはJRRCからの情報発信力を高めていく必要があり、団体の抱える課題と捉えています。

不要品回収業者を利用するメリットとは

――消費者が不要品回収業者に不要品の回収を依頼するメリットとは何でしょうか。

岩楯:直接的なメリットとしては、消費者の切実なニーズに対応できる可能性があるということでしょうか。 そして間接的なメリットとして消費者自身の自覚の有無に関わらず、持続可能な社会の実現に重要なプレーヤーとして参加していると(笑)。

――具体的な例だと、どういったものがあるのですか?

まずは、社会ニーズの話からですが、少し前から日本は超高齢社会に入ったと言われています。その中で65歳以上の単身者世帯が35%を越えているという統計もあります。
一例ですが、そういった高齢者が大型の家具や電化製品が不要になった場合どうするでしょうか?
家電なんかは、買い替えなら電気店が配達に来たときに古い家電は引き上げてくれる可能性がありますが、単純に不要となった場合で考えて下さい。本人は不要ですが、製品的にはまだ中古品として十分活躍する可能性がある場合です。
そういった製品はサイズにもよりますが、通常自治体に連絡して粗大ゴミ等で出すのが大半ではないでしょうか。
そして自治体では「指定の集積所に回収日の朝出して下さい」という対応をするんですね。ふれあい回収という住民サービスを提供している自治体もありますが、十分機能しているとは言えない状況です。
自治体毎で違いがありますが、ふれあい回収で地域住民宅に伺うのが定年を過ぎたシルバー人材を配置しているという所もあります。これでは、住民のニーズに応えられないのは火を見るより明らかです。
つまり高齢者が重く大きな不要品を指定日の朝、一人で集積所まで運べというのが実態に近いと考えています。不可能な事を地域住民に強いているのです。
さらに第三者が個人宅から不要品を敷地外に搬出すると法律が絡んできます。廃棄物処理法の建前上「一般廃棄物(家庭系)収集運搬許可」が必要になるからです。
もちろん家庭系一般廃許可業者は宅内まで上がり込んでは行いません。
「一般廃棄物(事業系)」という区分もありますが、この区分ですと住民個人の廃棄物は扱えません。当然、産業廃棄物許可業者に頼むのは尚更ダメです。
産廃許可も消費者個人が出すゴミは扱えないのです。法律上がんじがらめで、廃棄物として処分するとなると高齢者の気合と根性に頼らざるを得ない状況です。
しかもまだまだ使用できる製品が・・・モッタイナイ!です。
本来、そんな時にこそ回収事業者の出番があると思っています。宅内に上がって廃棄物でない「リユース品」を搬出する、高価な価値あるものは買取もできる。
自治体行政の中には「許可業者も家庭の中に入り込んでの作業はノウハウが無く対応できません」と打ち明けてくれたところもあります。ましてや買取となると当然で、ゴミしか扱って来なかったため、リユース価値があるのか無いのか判断できませんから。

――確かに高齢の方には必要なサービスですね。

そうなんです。更に、この問題の延長上で「生前整理」の問題があります。高齢者が介護サービス付き住宅への転居を行うと家財の殆ど全てを処分しなければいけない現状です。一気に大量のゴミが発生します。
これは行政にとっても痛手です。年間のゴミ処理計画数量を上回る要因になるからです。そのような「不要品=廃棄」という、これまでの流れから切り替え、回収事業者が入る事で、その中からリユース出来る物はリユースする。そうすればゴミを減らせることに繫がるのではないでしょうか。
そして回収事業者の存在は、国が推進する循環型社会実現のための一助になる筈です。また一般消費者の方も自身の家財が捨てられるのではなく、まだまだ社会の中でリユース品として活躍の場が与えられる。つまり消費者も循環型社会実現に貢献できるのです。
この循環型社会の実現は持続可能な社会と直結しています。
SDGs(持続可能な開発目標という意味で2016~030までの国際的な取組)というキーワードが最近巷で聞かれるようになりました。
「使わなくなった物を必要としている人に使っていただく」、正にSDGsそのもので、その壮大な取組に地域住民としての消費者が、回収事業者と共に参加していることになります。

不要品回収業界が抱える悩み

――いま不要品回収業者が抱える大きな悩みとは何ですか。

岩楯:個々の事業者によって悩みは様々ですからどれが一番大きな悩みかは一概には言えません。
ただ共通して言えるのは皆様「雑品スクラップ」の問題は相当堪えています。これは不要品回収業者にとどまらず、産廃業者、リユースショップ等静脈産業全体に影響を与えている問題です。
大雑把に言うと雑品スクラップの最大の受入先である中国が昨年末から異物混合状態のスクラップの輸入をストップしたことに端を発してます。
国内で消化する他、東南アジア等へ切り替えて対応して来ましたがそれも限界が見え初めています。
一般家庭から出る不要品のうち感覚的に言うと、雑品スクラップに該当するものは7~8割にのぼるのでは?と思います。
それらがちょっと前までは有価で取引できていたのに、今はタダです。ガソリン代も人件費も出ない。正真正銘の奉仕活動に近い状態です。
事業者は生活者でもあるので、どうやって収入を維持していくのか、程度の差があるにせよ共通の悩みを持っていると思います。

インタビューは後半に続きます。

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