フクロオオカミとは?人を敵に回し散々な最後に【絶滅動物シリーズ】

フクロオオカミとは?人を敵に回し散々な最後に【絶滅動物シリーズ】

人間によって滅ぼされた動物は数多く存在しますが、フクロオオカミもその1種です。 人間は意図的ではなく動物を滅ぼしてしまうことがありますが、フクロオオカミに関しては人間による敵意が絶滅に導いた、と言えるでしょう。

絶滅してしまったフクロオオカミとは、どのような動物だったのでしょうか。 また、なぜ人間を敵に回すことになってしまったのでしょうか。

フクロオオカミとは

フクロオオカミは、フクロネコ目の肉食獣で、かつてオーストラリアのタスマニア島に生息していました。 タスマニアオオカミとも呼ばれ、他にも背中にトラのような縞模様があることから、タスマニアタイガーとも呼ばれました。

フクロオオカミは有袋類でありながら、姿や生態がオオカミに似ている、という特徴があります。 頭部や歯、顔つきは犬に似たものがありますが、腰から尾については、カンガルーに似ていました。

夜行性の動物で、夜になると狩りに出かけ、ワラビーのような小型のカンガルーを捕食していたと考えられています。 獲物を捕らえる際は、オオカミのように走り、ときにはカンガルーのように後ろ足だけでジャンプを見せたと言われています。

また、オオカミは食べ残した獲物のところへ戻ってくる習性がありますが、フクロオオカミにはその習性はなかったようです。 動物園で少数のフクロオオカミが飼育されたこともありましたが、繁殖は成功することなく、絶滅してしまいます。

人の登場がフクロオオカミに与えた影響

大昔、フクロオオカミはニューギニアやオーストラリア、タスマニアなど広い地域に分布していました。 しかし、3万年前の人類の進出が彼らの生存を脅かすことになります。

人間はただオーストラリアに移住してきただけではなく、一匹の動物を持ち込みました。 家畜として飼われていた、イヌ科の肉食獣であるディンゴです。

人間もディンゴも、フクロオオカミと同じく、ワラビーを獲物としました。 彼らはフクロオオカミにとって、狩りのライバルとなります。

しかし、そのフクロオオカミはその競争に敗れ、オーストラリア本土から少しずつ姿を消していくことになるのです。< 紀元前2600年頃までは、フクロオオカミはオーストラリア本土に生息していた形跡がありますが、その後はタスマニアのみに生息しています。

そのタスマニアは、フクロオオカミにとって幸運なことにディンゴはやってきませんでした。 かつては、タスマニアとオーストラリア本土はつながっていましたが、氷期が終わったことで海面が上昇し、その二つは分断されることになったのです。 ディンゴがオーストラリアにやってきたのは、この分断後のことだったためにタスマニアまで現れなかった、と考えられています。

人に敵視されたフクロオオカミ

ディンゴとの生存競争を敗れ、タスマニアで暮らしていたフクロオオカミでしたが、またも人間の手によって、その生存が脅かされることになります。 1770年、キャプテン・クックがオーストラリアに到達したことで、多くのヨーロッパ人がタスマニアにもやってきます。

タスマニアにやってきた人々はヒツジなどの家畜を育て始めました ヒツジはフクロオオカミにとって、格好の獲物に。 つまり、家畜であるヒツジを狙うフクロオオカミは、人間の目の敵にされることになってしまうのです。

フクロオオカミを敵と見なした人間は、あらゆる手を使って彼らを虐殺します。 オーストラリアに移民してきた人々は、銃、毒、罠などを用いてフクロオオカミを殺すだけではなく、全身を叩いて粉砕するほど、フクロオオカミを憎んだとか。

1930年に野生では最後と思われるフクロオオカミが撃たれ、絶滅したと思われました。 その後も、動物園で飼育されていたフクロオオカミも死亡し、ついに絶滅したと考えられることになります。

しかし、1937年に目撃者が現れたことで、フクロオオカミは保護獣に指定されます。 1957年、1960年にも観察され、保護区が設定されましたが、その後はフクロオオカミを見たものはいません。

続くフクロオオカミの生存調査

フクロオオカミの生存調査は未だに続いています なぜなら、オーストラリアでは、タイガーキャットと呼ばれる謎の生物の目撃情報があり、その特徴がフクロオオカミに似ている、と噂されているからです。

そのため、動物学者はフクロオオカミが生きていると考え、赤外線センサーや自動撮影装置を配置して、フクロオオカミの生存を確認しようと試みています。 しかし、残念なことに生存は確認されていません。

このように、フクロオオカミは人間に敵視されてしまったことで、あっという間に絶滅に至ってしまいました。 人間が自然や生態系を壊す存在であることが、よくわかる例だと言えるのではないでしょうか。 フクロオオカミのような犠牲を出さないためにも、私たちは環境や生態系に配慮した生活を心がける必要があるでしょう。

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