気候難民とは?増加する原因や世界中で起こる事例を紹介

気候難民という言葉をご存じでしょうか。 温暖化や異常豪雨など気候変動は深刻化し、多くの被害を生み出していますが、気候難民はその代表的な例と言えるかもしれません。 今回は気候難民の意味や影響、その事例をご紹介します。
目次
気候難民とは?2050年には2億人超える恐れも
気候難民とは、異常気象によって住む場所を失い、他の場所に移住を強いられてしまった人々を指します。 異常気象とは、長期間にわたる豪雨や干ばつ、砂漠化、海面上昇、サイクロンなどが挙げられ、これらの現象によって住む場所を追われてしまう人々は年間平均2,000万人を超えるほどです。
気候変動はますます深刻化して、それは日本で暮らす私たちにとっても感じられることでしょう。 実際、世界銀行が2021年に発表した報告書によると、2050年までに世界で2億1,600万人が気候変動によって移住を余儀なくされる、と指摘されています。
ただ、UNHCR(United Nations High Commissioner for Refugees:国連難民高等弁務官事務所)は、気候難民を国際法的な「難民」と認めていません。 そのため、国境を超える気候難民の数に関するデータは不確かではりますが、かなりの人が自国から出ていく事態に陥っていると考えられています。 気候難民は今後も深刻化すると考えられ、国境を超える移動が増えれば、国際問題に発展する恐れも否定できないと言えるでしょう。
参考:UNHCR Japan 気候変動と強制移動
参考:WORLD BANK GROUP Groundswell Part 2: Acting on Internal Climate Migration

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気候難民による影響は?
気候難民の問題が悪化すると、さまざまな問題に発展する恐れがあります。どのような問題が起こり得るのか見てみましょう。
資源不足
大きな災害は天然資源へのアクセスを困難にさせ、今まで水や食糧を確保できていた地域も貧困に陥ってしまう恐れがあります。 また、気候難民を受け入れる地域のほとんども、資源が不足しているケースがほとんどです。 その状態で難民を受け入れるとなると資源はより不足し、人々の生活はひっ迫したものとなります。
人々の生活が不安定に
気候難民を受け入れる地域では、資源の不足や食料価格の急騰、住所不定など招き、社会的な不安を高めてしまいます。 それはさらなる貧困や治安悪化の原因となり、人々の生活を不安定なものに。 最終的には人々の対立だけでなく、国家間の問題に発展する恐れもあります。
紛争に発展
資源不足や社会の不安定化は、紛争に発展すると考えられます。 紛争が起こってしまった場合は、さらなる避難者を増加させ、負の連鎖を起こすことは避けられません。 さらに紛争は自然破壊の原因になるため、気候変動を悪化させることにもつながります。
気候難民の事例は世界中に
次に気候難民が出てしまった地域をご紹介します。
アフリカの角
紅海とインド洋に面したアフリカ大陸東部の半島一帯エリアは、右を向いたサイの角に似ていることから「アフリカの角」と呼ばれています。 主にジブチ・ソマリアの他、エチオピア・ケニア・エリトニアの一部がその地域に該当しますが、2020年末から過去40年で最悪と言われる大干ばつに見舞われました。
これにより、多くの人が安全な場所を求めて避難することに。 特にソマリアでは飢饉の発生が懸念されましたが、2024年3月からはアフリカの角に豪雨が降り、洪水が発生するなど、さらに複雑な状況になっています。
ブラジル
2024年、ブラジル南部にあるリオグランデ・ド・スル州で4月下旬から5月上旬にかけて豪雨が降り続けました。 これにより、州内は前例のないほどの洪水に襲われ、63万人以上が避難を余儀なくされます。 その後の影響としては、商店や住宅で略奪が起こるなど、治安の悪化が見られました。
ツバル
オセアニアに位置するツバルでは、気候変動の影響で海面が上昇し、国土が減少しています。 そのため、将来的には住民が避難を強いられると恐れられている状況です。 海面上昇によって失われる土地はツバルだけでなく、このまま気候変動が悪化し続ければ、さらに多くの気候難民が出てしまうと考えられます。
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気候難民を増やさないために
このように、気候変動によって多くの人が苦しい生活を送っています。 日本でも令和元年東日本台風による被害は記憶に新しいでしょう。 大きな災害のため、私たちが個人で取り組めることは少ないかもしれません。
しかし、小さな行動を続けることで、気候変動を緩和できる可能性は十分にあります。 例えば節電を心掛ける、不用品は捨てるのではなくてリユースを優先するなどの行動です。
また、気候変動のような問題を知ることも、行動を変えるきっかけとなります。 エコトピアでは多くの環境問題を取り上げるため、ぜひ記事をSNSでシェアしてみてください。
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