飛行機は温暖化の原因?観光による二酸化炭素が生む環境問題
趣味が「旅行」という人は少なくないでしょう。最近では飛行機による空の旅で、海外への観光旅行も手軽になりました。しかし、その飛行機は地球温暖化を加速させている恐れがあります。さらに言えば、人々が観光を楽しむことが、温暖化に影響を与える恐れもあるのです。
私たちが楽しんでいる観光が温暖化にどのような影響を与えているのでしょうか。飛行機と観光業界が温暖化に与える影響をご紹介します。
飛行機は温暖化を促進?観光が排出する二酸化炭素
飛行機は人類が空に飛び立つという夢を叶えた技術だと言えます。しかし、飛行機から排出される二酸化炭素は凄まじい量で、欧州では空の旅をやめようという動きが広がっているほどです。この動きはスウェーデンが発祥で、飛行機の利用は温暖化を促進することから「Flygskam(英語ではflight shame、日本語では飛び恥と訳される)」と呼ばれています。
ただ、温暖化を促進させるのは空の旅だけではなく、観光そのものという指摘もあります。オーストラリアのシドニー大学の発表によると、世界の観光事業によって排出される二酸化炭素は44憶トンにのぼるそうです。この数字は地球全体の排出量の8%に及びます。交通手段やインフラ、飲食業界の輸送手段などを考えると、観光業はそれだけの二酸化炭素を排出しているのです。
この結果は、観光業界に限らず、人間の経済がどれだけ二酸化炭を排出しているのか、ということにもつながります。人が移動することも、食べることも、生活するだけで、二酸化炭素が排出されているのです。これをどれだけ抑えられるのか、人類にとって大きな課題だと言えます。
温暖化によって飛行機が飛べなくなる?
もし温暖化がさらに進んだ場合、飛行機が飛べなくなるという衝撃的な話もあります。コロンビア大学やNASAの研究によると、温暖化によって飛行機の離発着が困難になると指摘。その研究では、今後10年のうちに温室効果ガスの排出量を抑制しなければ、暑い日には燃料や乗客などを最大で4%削減しない限り、離陸ができないと考えられています。
現在運行されている旅客機は、座席数が160席程度であるため、4%削減となると12人程度の乗客を減らす必要があるでしょう。なぜ暑い日は離陸できないかと言うと、気温が上がって密度が低くなることで、翼が生み出す揚力が小さくなってしまうことが原因です。
実際にアメリカのアリゾナ州では、気温が49℃を記録したことで離着陸が見合わせるという事態がありました。このまま温暖化が進んでしまえば、飛行機を使ってスムーズに目的地へと到着することは難しくなるでしょう。
また、二酸化炭素が増えた影響で、乱気流の発生が増加すると科学者たちが発言しています。これも実際に、乱気流に巻き込まれた飛行機が急降下し、乗客らは天井に激しく打ち付けられ、着陸後に病院へ搬送されたこともありました温暖化によって、飛行機による移動が困難になり、さらにリスクが高まるようです。
飛行機で飛び続けたら温暖化で観光地が失われる?
地球温暖化が観光に与える影響は、飛行機が飛べなくなるだけではありません。温暖化によって観光地そのものが失われてしまう恐れもあるのです。
温暖化による海面上昇によって、消えてしまう観光地。砂漠化と干ばつにより観光資源を失う地域。他にも温暖化による雪不足でウィンタースポーツ関連の観光地も厳しくなることが考えられています。また、エコトピアでも以下のような観光地が温暖化によって失われる恐れがあると紹介しました。
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空の旅が温暖化を促進させ、いつか観光が失われてしまうのであれば、何とも皮肉な話だと言えるかもしれませんね。
温暖化は飛行機も観光も奪ってしまう!
もし、飛行機や観光業によって排出される二酸化炭素の量があまりに多い場合、大きな規制がかかる、ということもあるかもしません。飛行機が使えなくなる、観光地が閉鎖になる、観光地そのものが消滅してしまう。そんなこともあるかもしれないのです。
地球には美しいものや、美味しいもの、楽しいことがたくさんあります。それを体験できる観光がなくなってしまったら、とても悲しいことです。そんな事態になってしまわないよう、私たちはできることから、環境への負担を減らすことを意識してみましょう。