オリンピックの環境問題!報道されない東京五輪の自然破壊

オリンピックの環境問題!報道されない東京五輪の自然破壊

2020年の7月、東京で第32回オリンピック競技大会が行われます。 オリンピックが日本で開催されることは、多くの人に希望を抱かせ、大きな経済効果があることも期待されています。

しかし、昔からオリンピックのデメリットとして、環境問題が挙げられています。 オリンピックが引き起こす環境問題とは、どんなケースがあるのでしょうか。 また、2020年の東京五輪は環境破壊を引き起こす恐れはあるのでしょうか。

東京五輪が熱帯雨林を破壊している?

2020年に行われる東京オリンピックが、マレーシアとインドネシアの熱帯雨林を破壊している、と話題になっています。

その原因は、東京オリンピックで使われる、新国立競技場など関連施設の建設のために、マレーシアのサラワク州で熱帯雨林が違法に伐採されている、という報告があったのです。

さらに、サラワク州にはイバン族と呼ばれる先住民が暮らしていることから、森林伐採によって彼らの生活は脅かされている、とも言われています。 この地の森林伐採による問題は、何十年も前からあったことで、その影響による水質汚染などにも、先住民たちは悩まされていました。

先住民の暮らしを守るため、マレーシア政府はライセンス制度を導入し、特定のエリアのみ、許可を得た企業だけが伐採を許されているはずでした。 しかし、先住民が暮らす森まで伐採されるようになってしまったのは、企業が州政府に対し、わいろを支払っているから、と考えられています。 そして、違法に伐採された木が、日本でオリンピック施設を建設するために使われている、とグローバルな環境NGOや市民団体から指摘されている状態です。

IOC(国際オリンピック委員会)は、オリンピックに使われる設備は、持続可能性を配慮すると掲げています。 それにも関わらず、東京オリンピックでは森林伐採と、先住民の人権を侵害してしまっている恐れがある状況なのです。

過去のオリンピックによる環境問題

オリンピックは、過去も環境への負担が問題となっていました。

特に冬季オリンピックはその傾向が強く、何度も話題となっています。 オリンピックによる環境問題の事例をご紹介します。

札幌五輪のスキー滑走コース問題

札幌オリンピックが開催された1972年は、地球資源の有限性が着目され「成長の限界」と言われる研究が発表されたことから、環境問題が話題となった年でもありました。

そんな中、札幌オリンピックでは、支笏洞爺国立公園内に位置する恵庭岳の国有林を伐採し、アルペンスキーの滑走コースを新設。 自然保護団体から強い反対がありましたが、期間限定の滑走コースが設置されたのです。

大会終了後、施設は解体され、植林が行われましたが、この復元工事は当時の金額で、2億4,000万が支払われたと言われています。

デンバーの開催権返上

1976年の冬季オリンピックは、アメリカのデンバーが選ばれました。 しかし、デンバーは経済的な問題に加え、環境への負荷から保護団体による強い反対を受けてしまいます。

そして、解決策を見いだせなかったことから、オリンピックの開催権を返上することになりました。 そのため、オーストリアのインスブルックに開催地が変更されることになります。

リレハンメルの環境に優しい五輪

1994年、ノルウェーのリレハンメルで行われた冬季オリンピックは、環境問題に対する強いメッセージを含んだものでした。

環境に優しいオリンピック、というスローガンを掲げた大会となり、アイスホッケーの会場は、岩をくり抜いた中に建設され、スピードスケートの会場も木製の屋根が使われた他、閉幕後もボランティアの手によって積極的に花が植えられるなど、その徹底した様子は広く評価されました。

再び長野でスキー場の問題

リレハンメルから4年後、1998年に長野で開催された冬季オリンピックは、アルペンスキー滑降競技の設営地点をめぐって問題が起こります。

当初、競技会場は滋賀県の岩菅山が候補となりましたが、そこはスキー場開発が進む志賀高原の中でも数少ない手つかずの山であったことから、自然保護連盟による運動が行われました。

札幌の恵庭岳の問題もあったことから、長野県は岩菅山の開発を中止し、既存のスキー場である白馬八方尾根スキー場を競技場としました。

ロンドン五輪の徹底されたエコ

2012年、ロンドンで行われたオリンピックは、環境への配慮を徹底した大会という目標が掲げられました。 開催前に、鉛や有害な化学物質によって汚染されていた土壌を浄化し、さらに廃棄物ゼロを目指したのです。

可能な限り既存の施設を利用し、組み立て式のバスケットボールアリーナなども利用され、これは大会終了後も再利用されました。 他にも大会中に発生したゴミのリサイクル徹底など、環境への配慮のために多くの工夫が施されたのです。

東京五輪のカヌー競技場が自然破壊

2020年の東京オリンピックは、熱帯雨林の破壊問題以外も、競技場による自然破壊の恐れが問題になりました。

それは葛西臨海公園に建設が予定されていたカヌー競技場です。 葛西臨海公園は、東京湾の汚染や埋め立てによって破壊された自然を20年以上の時間をかけて再生が行われた場所で、水生生物がたくさん生息する環境でした。

そこに競技場が新設される、ということに対し、地元住民や自然保護団体からの反対があったのです。 結果、2016年に計画は白紙となりました。

環境に負担のないオリンピックを

このように、オリンピックは環境問題と深い関係があります。 しかし、リレハンメルやロンドンのように環境に優しいオリンピックが評価されたこともあります。

そのため、環境に優しいオリンピックを開催し続けることも、可能と考えられるはずです。 2020年に開催される東京オリンピックは、厳しい状況のようですが、最終的には高く評価されると良いですね。

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