棚氷の崩壊はどんな影響が?温暖化や海面上昇の影響をご紹介

棚氷の崩壊はどんな影響が?温暖化や海面上昇の影響をご紹介

ここ数年、夏になる度に温暖化の脅威を実感されている方も多いでしょう。 温暖化の影響と思われる環境の変化は多く、北極圏や南極のような寒い地域でもそれが起こっています。

その一つがカナダ最後の棚氷と言われた「ミルン棚氷」の崩壊です。 ミルン棚氷は本当に温暖化の影響で崩壊してしまったのでしょうか。また、ミルン棚氷の崩壊は私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか。

カナダ最後の棚氷「ミルン棚氷」が崩壊

陸上の氷河や氷床が海の上に押し出され、陸上につながったまま洋上にある氷を、棚氷(たなごおり)、もしくは氷棚(ひょうほう)などと呼びます。 かつてカナダの北極圏には、そんな棚氷がいくつも見られましたが、ほとんどが分裂や崩壊によって目にできなくなってしましました。 そんなカナダの北極圏の棚氷の中でも、唯一無傷であったミルン棚氷が、崩壊して半分ほど失われてしまった、と2020年の8月に報告がありました。

ミルン棚氷の崩壊前の大きさは約190平方キロと巨大で、これはアメリカのワシントンD.C.よりも大きいものです。 しかしながら、7月30日~31日の間に面積の約43%が失われることに。 以前から崩壊が予測されていたミルン棚氷ですが、4000年の歴史があると言われていただけに、今回の件でショックを受けた人は少なくないでしょう。

それでは、ミルン棚氷が崩壊した原因は何だったのでしょうか。

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棚氷の崩壊の原因は温暖化によるものか

ミルン棚氷の崩壊は温暖化が関係していると多くの科学者が指摘しています。 この夏の北極圏は、1980~2010年の平均気温よりも5度も高かったと記録されています。 7月25日にはエルズミア島ユーリカの基地で観測史上初となる21.9度が観測されたほどです。

北極圏は、地球上で最も急速に温暖化が進んでいると言われています。 ミルン棚氷が崩壊したように北極圏の氷は徐々に減少し、その影響でホッキョクグマの絶滅も危機されているのです。

なぜ、北極圏はこれほど急速に温度が変化しているのかと言うと、氷が溶けて白い部分が減ってしまうと、太陽光の反射が減り、温まった海水で大気までも加熱してしまうため、と考えられています。 北極圏は、温暖化がきっかけでこのような悪循環に陥ってしまっているのです。

棚氷が崩壊したことで海面上昇する?

このように北極や南極の氷が溶けてしまうことで、私たちの生活にはどのような影響があると考えられるのでしょうか。 真っ先に考えられる影響は、氷が溶けてしまったことで起こる海面上昇です。 最初から海上にある氷が溶けた場合は、質量保存の法則によって海水が膨張するだけで、海面はほとんど上昇しません。

しかし、海に浮かぶ棚氷は陸地の氷をせき止める効果があります。 そのため、棚氷が溶けることで陸地の氷が海へと崩落し、海面上昇に影響を与えてしまうと考えられます。 実際に、海面上昇によって失われる地域はいくつも予測され、経済や居住の問題に大きな影響が懸念されています。

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ただ、この状況に人が順応するために、海上で生活するという計画も注目されているのです。

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以前も巨大な棚氷が崩壊していた

巨大な棚氷の崩壊は以前から事例が見られています。中でも有名なのは南極半島東岸に存在した、ラーセン棚氷の崩壊です。 ラーセンA棚氷、ラーセンB棚氷、ラーセンC棚氷と名付けられたその棚氷はどれも歴史あるものでした。

しかし、ラーセンA棚氷は1995年に崩壊、ラーセンB棚氷は2002年に崩壊、ラーセンC棚氷は2017年に約5700平方キロの巨大な氷山の分離が確認されました。 このように、温暖化が進めば、さらなる棚氷の崩壊、海面上昇の危機が迫ると考えられるでしょう。

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