都市緑化とは?植物が街にもたらすメリット・デメリットと課題解決の方法
都心は緑が少ない印象ですが、公園の他にも街路樹や建物の屋上など、意外に植物を見る機会があると思ったことはないでしょうか。これは、植物が都市の弱点を補う性質を持っているため、街の中に緑を増やして育てる「都市緑化」という取り組みが進んでいるからです。
しかし、都市緑化によって緑を増やすことは簡単ではなく、良いことばかりとは限りません。都市緑化のメリット・デメリット、課題などを紹介します。
目次
都市緑化とは?コンクリートの街に潤いを
都市緑化とは、ビルや住宅が密集する市街地で公園、街路樹の整備、建物の屋上・壁面の緑化などを通じて、植物を増やし育てる取り組みです。
都会はコンクリートやアスファルトに囲まれています。しかし、ビルの屋上に広がる庭園、ホテルの外壁を覆う植物、道路沿いに並ぶ街路樹など、都会の風景に自然を感じるタイミングが以外に多いと感じたことはないでしょうか。
実はこれ、人工的な空間に植物を植えて、意図的に緑豊かな環境をつくる「都市緑化」が進められているからなのです。一見すると街をきれいに飾るための「デザイン」や「景観づくり」のように思えるかもしれませんが、緑化を進めて都会を守る狙いがあります。
そのため、都市緑化は「緑のインフラ」として、国や企業を挙げて非常に重視されている取り組みです。では、都市緑化は具体的にどのような効果があるのでしょうか。
都市緑化による5つのメリット
さまざまな恩恵をもたらす都市緑化ですが、代表的なものとしては以下の5つのメリットが挙げられます。
- ヒートアイランド現象の緩和
- 都市型水害の対策
- 防災・防火・騒音カットの盾になる
- 幅広い環境保全に
- 働く人・住む人のメンタルを整える
それでは、各々の効果を見てみましょう。
ヒートアイランド現象の緩和
アスファルトやコンクリートは太陽の熱をため込む性質があると有名です。さらに、エアコンの室外機や車の排気ガスも気温を高くする効果があり、これらが密集する都会では「ヒートアイランド現象」が問題になっています
しかし、都市緑化を行えば、植物が「天然のエアコン」として機能します。植物は、根から吸い上げた水分を葉から蒸発させる「蒸散作用」を持ち、このとき周囲の熱を奪って気温をダイレクトに下げてくれる効果があるからです。
ビルの屋上や壁面を緑で覆うことで、建物の温度上昇を抑え、夏のエアコンの電気代を節約できるという実用的なメリットもあります。
都市型水害の対策
近年、日本はゲリラ豪雨に襲われ、さまざまな被害に悩まされてきました。この原因はアスファルトだらけの都市環境に原因があります。なぜならアスファルトだらけの都会では雨水が地面に染み込まず、すべて下水道に集中してしまい、都市型洪水が起こってしまうからです。
しかし、都市緑化で作られた土や植物のエリアは「ミニチュアのダム」として機能します。豊かな土壌や植物の葉は、雨水を一時的にキャッチし、ゆっくりと地下へ浸透させてくれるからです。下水道の負担を削減し、水害から街を守る。そんな効果も都市緑化の大きなメリットと言えます。
防火・騒音カットの盾になる
都市緑化は防火や騒音のカットに役立ちます。樹木は水分を含むため、火災が発生した際も火の粉を遮断し、隣の建物へ火が燃え広がることを食い止めます。特にイチョウやサンゴジュなど火に強い性質を持つ木は防火壁として役立つでしょう。
また、交通量の多い大通りや線路沿いに植えられた並木は、騒音を葉や幹が吸収・乱反射させ和らげる効果があります。騒音防止としてコンクリートで遮ってしまうと、圧迫感が出てしまいますが、並木や生垣なら開放的に静かな住環境が守られます。
幅広い環境保全に
都市緑化は環境保全の面でも多くのメリットをもたらします。車やビル、工場から排出される二酸化炭素を吸収してくれることはもちろん、有害物質をキャッチして空気を綺麗にするフィルターのような役割も果たしてくれます。
さらには、鳥やチョウ、ミツバチといった生き物の拠点として機能することも都市緑化のメリットです。ビルの屋上、壁面、街路樹に緑が増えると、生き物たちの「小さな給水所・中継地点」になるため、安全な移動・繁殖が可能となり、生物多様性が守られます。
働く人・住む人のメンタルを整える
さらに、緑は私たちの心に対してもいい影響を与えてくれます。人の視界にどれだけ植物の緑が入っているか、という割合を「緑視率」と言いますが、これが10%~15%を超えると、人間の脳のストレスが大幅に軽減されると言われています。オフィスや住まいの周辺に緑があるだけで、働く人の生産性が上がる、地域住民の幸福度があるというメリットがあるのです。
都市緑化のデメリット・課題とは?
多くのメリットがある都市緑化ですが、デメリットや課題がないわけではありません。都市緑化によるデメリットと課題、そして解決のヒントをご紹介します。
維持管理と継続的なコスト
植物は生き物であるため、植えれば終わりというわけにはいきません。定期的に水をやる、雑草を除去、枝葉の剪定など日々のケアが必要です。
しかし、高層ビルの壁面や屋上を緑化する場合は高所の作業が必要となり、専門業者によるメンテナンス費用も発生するでしょう。また、土は水を含むと非常に重くなるため、建物に負荷を与えてしまいます。植物の根が伸びてコンクリートのわずかな隙間に入り、建物が傷付くといったリスクも考えなければなりません。
落ち葉や害虫によるトラブル
自然の生き物を都会に持ち込むため、特有のトラブルが発生してしまいます。まずは落ち葉の処理です。秋になれば大量の落ち葉が発生し、誰かの私有地に入り込んで散らかる、道路の側溝に詰まって雨水が溢れるといったトラブルが考えられるはずです。
さらには、毛虫や蚊、アブラムシと言った害虫も発生しやすく、適切な管理を行わなければ、近隣住民やビルを利用する人から苦情が出てしまうケースも考えられます。
解決のヒント
都市緑化の効果を最大限に活かすとしたら、これらの課題を解決しなければなりません。その手段として、ローメンテナンス緑化の普及、スマート管理などが必要となります。
ローメンテナンス緑化とは、ほとんど水やりや剪定が必要ない植物(多肉植物のセダムや、乾燥に強い常緑シダなど)を選ぶことで、管理の手間とコストを抑えられます。スマート管理は、雨量や土の乾燥をセンサーで管理し、必要な分の水やりを自動で行う「自動灌水システム」の導入です。
また、最新のビル開発では緑化することを前提に、頑丈な防水層と防根建材が組み込み、建物に対するダメージリスクを抑える技術もあります。
自然の恩恵を受け続けるためには
このように、都市緑化は自然を増やし、さまざまな恩恵を受け続けるための取り組みとなります。私たちにとって自然はそれだけ大切な存在と言えますが、現在は多くの環境問題によって、その恩恵が失われつつあります。身近なところで自然のためにできる行動はあるのでしょうか。
それはリサイクルとリユースが代表的と言えます。リサイクルは分別を徹底することで、ごみに再資源化を促し、無駄を削減できる行動です。リユースは再利用を意味する行動で、マイボトルやマイ箸の利用が該当します。他にも使わなくなったモノをフリマアプリやネットオークションで売買することもリユースに含まれるため、機会があれば利用してみましょう。
昨今はリユースに触れる機会が増えています。特に中古品を取り扱うサービスや店舗は増えているため、使わないモノが出てきたときは、リユースという選択肢を取れないか、ぜひ考えてみてください。










