バイカル湖の汚染が深刻!シベリアの真珠が悩まされる環境問題
自然は私たち人間に様々な恵みを与えてくれますが、美しい光景によって人々の心を癒してくれることもあります。 ロシアのシベリアにある、バイカル湖も美しい光景が広がり、人々を圧倒します。
しかし、そのバイカル湖が汚染され、環境問題に晒されているのです。 バイカル湖では、どのような汚染問題があるのでしょうか。バイカル湖の環境問題をご紹介します。
バイカル湖とは
バイカル湖はロシアの東南部に位置する、三日月型の湖です。 面積は31,494km2で、アジアの湖としては、バイカル湖は最大級の大きさを誇ります。 貯水量についても、世界最大と言われるバイカル湖には、世界中の凍っていない淡水が、17~20%もここに存在している、とまで言われています。
また、バイカル湖はロシアの寒い地域であるため、栄養素が乏しいにも関わらず、豊富な生物多様性を持つことでも知られています。 チョウザメやオームリを始めとする、約355属1,334種が生息し、その中の70%となる1,017種が固有種で、世界で唯一淡水の中で生活するアザラシであるバイカルアザラシの存在は有名です。
沿岸ではチョウザメ、オームリを対象とした漁業が古くから盛んで、周辺ではヤギやラクダの放牧や農業なども行われています。 そして、観光業も盛んであることが、バイカル湖の特徴です。
それでは、バイカル湖の人気の秘密は、どのようなところにあるのでしょうか。
バイカル湖の宝石のような氷
たくさんの生物が生息するバイカル湖では、夏は動物観察やバードウォッチングも楽しめますが、冬には一生に一度は見てみたいと思ってしまうような風景が広がります。
バイカル湖は冬の時期になると、気温が-30度を下回ります。 すると、湖面がすべて凍り付きますが、その様子は宝石やガラスのように美しく、中にはエメラルドのような色を放つものまであります。 これはバイカル湖の最大の特徴である、世界一と言われる高い透明度によって、幻想的な世界を生み出すのです。
さらに、春が近付くと氷の表面が溶けて「キャンドル・アイス」と呼ばれる、氷の柱が突き出したような現象も起こり、より神秘性のあるバイカル湖を目の当たりにできます。 このような美しい光景、豊富な自然と生物多様性が評価され、バイカル湖は1996年、世界遺産にも登録されています。 そんなバイカル湖の美しさは「シベリアの真珠」と表されることもあり、数々の人を魅了しています。
美しいバイカル湖の汚染
美しいバイカル湖は、世界遺産にも登録されていますが、実は環境問題に悩まされています。 その環境問題とは、水質汚染です。
バイカル湖の周辺には製紙工場がありましたが、そこから流れ出る工業排水や、森林へ撒かれる殺虫剤の影響により、水質汚染が深刻であると懸念されているのです。 その影響は湖に住む動植物にも影響があり、1987年の時点でも水質低下によって、バイカルアザラシの免疫力が低下してしまい、感染病にかかって大量死してしまう、という事態がありました。
水質汚染の主な原因として挙げられていた製紙工場については、既に閉鎖されましたが、現在は観光開発による汚染が進んでいます。 バイカル湖への観光客は増加し、それに伴い周辺のリゾート施設も増加しています。
その施設の中には、下水や廃棄物対策が十分ではない場所も多く、そのためバイカル湖では、藻類や植物プランクトンが増殖して、赤潮やアオコの原因となる富栄養化が進んでいるようです。 富栄養化が進んでしまえば、バイカル湖の生態系のバランスも崩れてしまうでしょう。
そのため、現在もロシア政府によるバイカル湖の水質汚染対策が注目されています。
バイカル湖を観光する際は注意!
自然は人間の活動が活発になると、大きな影響を受けて、そのバランスを失ってしまうことが多々あります。 自然目的の観光によって、その自然が失われてしまうケースは、バイカル湖だけではないのです。
そのため、観光の際は少しでも環境への負担を和らげるためにも、ゴミの処理を始めとするマナーは必ず守りましょう。 もし、バイカル湖に観光へ行くことがあったら、このような現状を思い出し、しっかりとマナーを守った旅行を楽しんでくださいね。