蚊の大群はなぜ発生する?原因はユスリカや温暖化が関係?

蚊の大群はなぜ発生する?原因はユスリカや温暖化が関係?

温かい時期になると多くの人が煩わしく感じるのが、蚊に刺されることではないでしょうか。 温暖化によって蚊の活動期間は長くなり、刺されまいと対策に手を焼いている人は多いはず。

しかし、環境問題による生態系の変化はそれだけでなく、恐ろしいほどの蚊の大群が発生する事態になっています。 蚊の大群と温暖化による影響をご紹介します。

蚊の大群が発生!正体はユスリカ?

夏になると、道を妨げるように大量の小さい虫が宙を舞っている姿を目にしますが、あれを蚊柱と言います。 しかし、蚊柱の正体は蚊ではなく、ユスリカと言われる虫だということをご存じでしょうか。 ユスリカはなぜ大群で宙を舞うのか、その原因を追ってみましょう。

ユスリカとは

ユスリカは、昆虫綱ハエ目ユスリカ科に属するハエの仲間です。 世界中に約10,000種も存在し、日本だけでも約1,000種類が報告されています。

見た目はアカイエカという蚊にそっくりですが、実は別物であり、その決定的な違いは吸血するかしないかという点。 蚊の雌は産卵期に吸血を行いますが、ユスリカの成虫は雄も雌も血を吸うことはありません。

また、ちょうど人の頭の上あたりで蚊柱をつくることから、一部では「頭虫」「脳食い虫」と呼ばれることもあります。

ユスリカが発生しやすい場所

ユスリカは湖や河川の近くに生息しています。そのため、川沿いの道では蚊柱に遭遇することも多いでしょう。 他にも、光に集まる習性があるため、照明をつけている店舗や玄関先で見ることもあります。

また、ユスリカは富栄養化の水質を好むという側面もあります。泥や水中の有機物を食べて成虫になると姿を消すことから、水質を改善するとして有名です。

ユスリカの大群が発生する原因

それでは、なぜユスリカは蚊柱を作るのでしょうか。 大量のユスリカが集まる蚊柱ですが、実はほとんどが雄。雌はがいたとしても、一匹から数匹程度です。

ユスリカのような小さい虫の羽音は、1匹だと小さいものですが、あれだけの数が集まると大きくなり、単独で行動する雌にその存在をアピールできます。 つまり、蚊柱はユスリカが出会いの場なのです。

ルイジアナで蚊の大群が発生!動物が大量死?

しかし、ユスリカによる蚊柱とは比べ物にならないほど、大量の蚊が発生するケースもあります。2020年の9月、アメリカのルイジアナ州で蚊の大群が発生。その蚊の大群によって、牛や馬、鹿などの動物が襲われ大変な事態となりました。

蚊の大群に囲まれても、人間であれば何とか回避できますが、動物には難しいことです。 動物たちは蚊の大群から逃れるために動き回っていることから、疲労によって死に至ることも。

また、蚊の大群に襲われてしまった動物たちは、貧血になるほど血を吸われるだけでなく、刺された場所の皮膚下から出血していました。この蚊の大群の発生によって、約400頭の牛が死んだと説明されています。その後は殺虫剤の空中散布によって、群れは小さくなりました。

過去にも蚊の大群が発生!温暖化と関係は?

蚊の大群によって動物が死んでしまったケースはこれだけではありません。 蚊の大群の発生原因は、ハリケーンの発生による洪水が影響しています。 ルイジアナに蚊の大群が出た原因は、8月に発生したハリケーン・ローラでした。

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蚊は大雨や大きな洪水の後に、休眠卵が孵化し一斉に生まれることがあり、ルイジアナでもそのような現象があったと考えられます。 そのため、アメリカではハリケーンの発生後は蚊の大群が発生してしまうケースは限られたことではないのです。 ハリケーンや台風の増加が温暖化と関係しているかどうかは、確かなことはわかっていませんが、ここ数年で発生数が増えていることは間違いありません。だとしたら、今後も蚊の大群が発生することがあるでしょう。

また、温暖化によって巨大な蚊も大量に発生している、という報告もあります。 蚊の大群が発生することで生態系に影響があった場合、人間への影響も考えられます。小さい虫だと侮っていては、いつか人間も痛い目を見るかもしれませんね。

温暖化で高まる蚊による感染症リスク

温暖化によって蚊が増えてしまうと、感染症のリスクも高まります。 蚊が媒介する感染症として有名なのは、マラリアとデング熱です。

マラリアはハマダラカ類の蚊によって運ばれる感染症で、年間で42万人以上が命を落としています。 病原体に寄生されると、発熱発作、発汗や震えなどの症状がみられます。

デング熱はネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどによって媒介される感染症です。症状は、急激な発熱や発疹、頭痛、吐き気など。 1970年以前、重症型のデング熱は9ヵ国のみで流行がみられていましたが、現在では100ヵ国ほどで見られ、2014年には日本でも流行しました。

温暖化が深刻化すると、このようなウイルスを媒介する蚊の行動範囲が広がり、さらに脅威が拡大されると考えられます。 また、このような感染症は蚊だけではなく、そのほかの動物も原因となり得ます。人類が発見していないような新たな感染症が発生することも考えられるのです。 これからは、さらに自然や動物との距離感を考え直す必要があると言えるでしょう。

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