なぜハトはこんなに多いの?増え続ける理由や危険性を解説

駅や公園など気付けば私たちの傍にいるハトですが、なぜここまで多く生息しているのでしょうか。 平和のシンボルと言われるハトですが、実は危険な存在でもあります。 また、私たちがよく目にするハトは外来種でもあるのです。 今回は個体数が多い理由や危険性、種類の違いなど、ハトに関する疑問をご紹介します。
よく見るハトは外来種?キジバトとドバトの違い
個体数が多い理由の前に知っておきたい点は、国内で見るハトは「キジバト」と「ドバト」の2種類が存在していることです。 それぞれ何が異なるのでしょうか。
キジバト
キジバトは別名をヤマバトと言って、全長は33センチほどあり、体色は茶褐色から紫灰色。 翼にある黒と赤褐色の鱗状の模様が特徴です。
キジバトはユーラシア大陸東部や日本に分布し、ヤマバトと呼ばれるように山岳地帯に生息していました。 そのため、人間の前に姿を現すことは滅多にありませんでしたが、1960年代に都市部での銃猟が制限されるようになると、人間を恐れなくなり、街路樹や建造物で営巣するようになります。
しかし、次に紹介するドバトに比べると強い警戒心を持つ点が、キジバトの大きな特徴と言えるかもしれません。
ドバト
ドバトは別名をカワラバトと言われ、全長は35センチ程度、羽色は白黒や灰色、黄色など多彩となっています。 このドバトは1500年前の飛鳥時代に渡来したと考えられる外来種ですが、昔から神の使いとして尊ばれ、保護され続けていました。
そのためか、少しも人間を恐れないという特徴があり、駅前や公園で見るハトの多くは、この「ドバト」の方です。 つまり、私たちが認識する「ハト」の多くはドバトとなり、以下で説明する「ハト」もドバトとお考えください。
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なぜハトは多いの?人間も大きな原因に
それでは、なぜハトはこれほどまでに増えているのでしょうか。 ハトが増える原因は「食糧が豊富」「高い繁殖力」「天敵が少ない」という3つの原因が挙げられます。 それぞれを詳しく見てみましょう
食料が豊富
ハトが増えた理由として一番大きな要因は、彼らにとって食料が豊富であることだと言えます。 基本的に雑食性で草食の傾向にあるハトですが、人を恐れないことから街や都会で生息し、人間が与えたもの、落ちている食べくずでお腹を満たす機会も少なくありません。 カラスほど雑食ではないため、人間が出したごみは漁りませんが、他の鳥に比べるとハトは食料に不便していないと言えるでしょう。 そのため、近年ではハトに餌を与えないよう呼びかける地域も増えています。
高い繁殖力
ハトは1年中繁殖が可能で年に6回ほど産卵するうえ、群れで行動することから番(つがい)も見つけやすい傾向にあります。 さらに、工場や駅の天井部、高速道路の高架下など、雨風の当たらない場所で営巣も可能です。 そして、ヒナは生まれて1ヵ月程度で巣立ち、生後6ヵ月で繁殖期になるため、ハトは次々と増えていきます。
天敵が少ない
ハトの天敵は、猛禽類のタカやワシ、フクロウ、ヘビなどが挙げられます。 しかし、これらの動物は市街地に出てくることはなく、ハトを脅かす機会は限られています。 他にも、天敵としてカラスと猫が存在していますが、彼らにとっても都会は食料が豊富なため、わざわざハトを襲う必要もないのです。
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意外に危険?ハトによる被害とは
ハトが増えすぎてしまうと、何か困ることはあるのでしょうか。 平和の象徴と言われるハトですが、実は人間にとって以下のような危険性があります。
- 尿による金属の腐食促進
- 糞や体内にクリプトコックス症などの病原菌が潜んでいる
- 糞に含まれるノミやダニによるアレルギー症状の発病
このように糞に関する問題は深刻で、苦情が寄せられることも少なくありません。 ハトは磁気を嫌うため磁石を設置する、営巣しそうな場所に針山を設置するなど、対策が行われますが大きな効果は得られていない、といい現状です。 街でハトを見かけても、このような危険性があるため、安易に近づかないようにしましょう。
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私たちは自然から多くの恩恵を受けていますが、たまに困ったものを受け取ってしまうことはないでしょうか。
私たちは自然から多くの恩恵を受けています
ハトだけじゃない!動物との関わり合いは注意
ハトは古くから人間に保護され、街や都会を恐れないために、増えてしまいました。 しかし、多くの病原菌を保持しているため、近づくことは危険だと言えます。
ハトの他にも動物と接触する機会があるかもしれませんが、気軽な気持ちで餌を与えたり触れたりしてしまうと、大変な目に合う恐れがあります。 人間にとっても、動物にとってもデメリットを被ることがないよう、接触する機会があったときは、慎重な判断を心掛けましょう。
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