首都高カーボンニュートラル戦略とは?2050年の脱炭素と変わる都市インフラの未来
世界的な課題である気候変動の原因は、温室効果ガスの排出が大きな原因の1つとして考えられ、国家や企業、団体などさまざまな単位による削減の取り組みが必要とされています。 そんななか、東京都区部とその周辺地域の都市高速道路である「首都高速道路」もカーボンニュートラルの取り組みに力を入れていることをご存じでしょうか。
今回は首都高速道路株式会社による「首都高カーボンニュートラル戦略」をご紹介します。
目次
首都高カーボンニュートラル戦略とは?
それでは、首都高カーボンニュートラル戦略の概要を確認してみましょう。
なぜ首都高がカーボンニュートラルを目指すのか
首都高速道路(以下、首都高)が、なぜカーボンニュートラルを目指すのでしょうか。 いま、世界中で「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」というカーボンニュートラルの動きが加速しています。 日本政府もこの目標を掲げ、多くの企業や団体が取り組む中、首都高にとっても、これは大きな課題と言えました。
なぜなら、首都高は単なる道路ではなく、1日約100万台の車が走る日本の経済を支える巨大インフラでありながら、膨大な二酸化炭素が排出される場所だからです。 そのため、首都高は2021年に「首都高カーボンニュートラル戦略」を策定し、次世代に持続可能な都市環境を引き継ぐことを目標としました。
目指すは持続可能性と利便性
この戦略が目指すところは、ただ「環境に優しい」という点ではありません。 持続可能性を追求すると同時に、都市の利便性を犠牲にしない脱炭素を目指す、という大きな特徴があります。
持続可能性については、気候変動が進んでしまったら、極端な豪雨や災害が増え、首都高の機能は停止して、物流が麻痺することも考えられます。 そういった事態を回避するためにも、首都高は環境対策を進め、安全に走り続けられる道路を守らなければなりません。
ただ、これを実現するために車の利用を制限するといった手段を取ってしまったら、利便性が損なわれてしまうことも事実です。 そのため、今まで通り、あるいは今まで以上に便利に移動しながら、結果として二酸化炭素を出さない仕組みを作ることが最大の狙いとなっているのです。
首都高カーボンニュートラル戦略の目標
そんな首都高カーボンニュートラル戦略では、どのような目標が掲げられているのでしょうか。
2030年の中間目標
首都高カーボンニュートラル戦略では、2030年に以下のような中間目標を設定しています。
- 自動車交通によって排出される二酸化炭素を約3割減
- 事業活動によって排出される二酸化炭素を約5割減
こちらは2019年の排出量を基準としたもので、当時の自動車交通から排出された二酸化炭素は159万t、事業活動によって排出された二酸化炭素は8万tとなっています。 そのため、2030年には自動車交通から排出される二酸化炭素が110万t、事業活動によって排出される二酸化炭素が4万tという目標になっています。
2050年のゴール
そして、ゴールとなる2050年には「排出量」と「吸収量」が均衡する、プラスマイナスゼロの状態。 つまりはカーボンニュートラルの実現を目指しています。
その手段としては、自助努力だけでなく、既存のネットワークをAIやデジタル技術で管理、自動車メーカーと連携した次世代自動車の普及などが挙げられています。
達成するための3つの主要アクション
2030年までに首都高のカーボンニュートラルを達成するため、具体的にどういった手段が挙げられているのか確認してみましょう。
再エネ導入とLED化
首都高には広大な面積を持つ施設があるため、それをクリーンエネルギーの拠点として活用します。 パーキングエリアの屋根やトンネルの入り口の壁面、道路脇の遮音壁などに太陽光パネルを設置。 ここで発電した電気をトンネル内の照明や換気ファンに充てる仕組みを広げています。
他にも、約14万灯ある道路照明を順次LEDへ切り替えることで、消費電力を大幅に削減。 パトロールカーなどの業務用車両をEV(電気自動車)に切り替え、事業活動から出る二酸化炭素の削減を目指しています。
AI渋滞対策
渋滞の削減も道路における脱炭素につながります。 なぜなら、車が止まったり進んだりを繰り返すとき、エンジンやモーターはよりエネルギーを消費して多くの二酸化炭素を排出するからです。
首都高カーボンニュートラル戦略では、これを避けるためにAIとDXを使った交通マネジメントの推進を掲げています。 膨大な走行データをAIで解析し、数時間後の渋滞を予測。ドライバーに最適なルートをリアルタイムで提案することで、交通量を分散させる。
自動運転の技術によって最適な速度と車間距離を保たせることで、ブレーキによる無駄なエネルギーロスを削減するなど。 最新の技術によって、二酸化炭素の削減が期待されているのです。
路面上給電
首都高カーボンニュートラル戦略で触れられている最新技術は他にもあります。 それは、EV普及を支えるインフラ整備に重点を置いたものです。 EVに乗っていると、高速道路で充電が切れてしまう不安がつきまとってしまいます。
これを解消するため、短時間で充電できる「急速充電器」の設置を戦略的に推進。 長距離移動のハードルを下げ、社会全体のEVシフトを後押しします。
さらに、将来的には「走りながら路面から電力を供給してもらう」といった技術の研究も進んでいます。 これは従来のケーブルによる充電ではなく、パーキングエリアの駐車場や路面で、ワイヤレスの給電が可能となる技術であり、実現すればEVは重いバッテリーを積む必要もありません。 実現すれば、さらなるEV普及の推進が期待できるのではないでしょうか。
参考:首都高ドライバーズサイト 首都高カーボンニュートラル戦略
カーボンニュートラルのために私たちができること
このように、首都高ではカーボンニュートラルに向けた取り組みが進められています。 ただ、世界的なカーボンニュートラルを実現するためには、国や企業だけでなく、消費者である私たちの努力も必要です。 では、カーボンニュートラルのためにできることは何があるのでしょうか。
一番身近なところで言えば、ごみの削減が挙げられます。 もっと具体的な手段としては、リサイクルやリユースを徹底することです。 リサイクルは分別を徹底することで、ごみの再資源化に貢献し、新たな製品もゼロから新しく作るより少ないエネルギーで作れる、省エネにつながります。
リユースに関しては、再利用を意味する言葉で、そもそもごみを出さないため、廃棄物を処理するためのエネルギーを削減できます。 さらには、リユースでモノが繰り返し使われれば、新しい製品を作る必要もなくなり、製造時の二酸化炭素排出を抑えられるでしょう。 マイボトルやマイバッグの利用、フリマアプリによる売買もリユースに該当する行動です。 昨今では、さまざまな形でリユースを実践できるため、ぜひモノを手にする・手離すときは、意識してみてください。










