気候リスクとは?気候変動との違いや生活への影響をわかりやすく解説

気候リスクとは?気候変動との違いや生活への影響をわかりやすく解説

夏の暑さは年々増すようですが、2026年4月に気象庁は最高気温が40℃以上に達する日を「酷暑日」として、正式な予報用語を新たに制定しました。 そんな気候変動の影響を実感する昨今ですが「気候リスク」という言葉が注目されていることをご存じでしょうか。

気候リスクの意味から私たちの生活に及ぼす影響などをご紹介します。

気候リスクとは?異常気象による損失

気候リスクについて、言葉の意味だけではなく、気候変動との違いや今注目される理由などもご紹介します。

気候リスクとは

気候リスク(Climate Risk)とは「地球温暖化やそれに伴う異常気象が原因で、企業や自治体、そして個人が経済的な損失・不利益を被る危険性」のことを指します。 異常気象によって発生する、企業や個人の「お金・経営・生活」に直接ダメージを与えるリアルな経済リスクと言い換えられますが、具体的には以下のようなケースが挙げられます。

  • 建物が壊れて莫大な修繕費がかかる
  • 原材料が高騰して利益が減る
  • 法律が変わってこれまでの製品が売れなくなる

気候変動と気候リスクの違い

混同されやすい言葉としては「気候変動」がありますが、この2つには明確な違いがあります。 気候変動は地球温暖化により、気温の上昇、激しい豪雨、干ばつ、海面上昇などの「自然現象そのものが変化することです。 対して、気候リスクは気候変動によって「人間社会や経済、ビジネスがどんな損失を受けるか」といった視点となります。

なぜ気候リスクが注目されるのか

これまで、自然災害は「予期せぬ不運」として処理されることがほとんどでした。 しかし、近年は「線状降水帯」や「記録的猛暑」といった異常気象が毎年のように頻発しています。 そのため、現在は「異常気象や脱炭素へのシフトは、起きるかもしれないリスクではなく、必ず起きる前提で事前に備えるべき経営課題」として、大企業や国が厳しくチェックする指標となったのです。

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押さえておきたい「2つの気候リスク」

気候リスクは、世界共通のルールによって、大きく「物理的リスク」と「移行リスク」の2種類に分けられます。 それぞれの違いは以下の通りです。

リスク分類 原因 概要・要約 発生要因・背景 影響の例
①物理的リスク 異常気象や自然環境の直接的な変化 「気象現象や自然環境の悪化」による直接的被害 台風、豪雨、海水温上昇、平均気温の上昇など 工場や店舗の浸水、サプライチェーンの断絶、農作物の不作
②移行リスク 脱炭素社会への移行に伴う社会システムの構造変化 「法規制・技術・市場構造の変化」に伴う不利益 環境法規制の強化、代替技術の登場、消費者行動の変化 炭素税によるコスト増、化石燃料関連事業の収益性低下、不買運動

物理的リスクと移行リスクの特徴をもう少し詳しく見てみましょう。

物理的リスク

物理的リスクは自然現象そのものが、建物・インフラ・農作物などに直接的な損害を与えるリスクです。 さらに「急性リスク」と「慢性リスク」に分けられ、その違いは時間軸にあります。

急性リスクは突発的な猛威によるもの。台風や線状降水帯による河川の氾濫、ゲリラ豪雨、山火事など、突発的な気象災害によって短期間で甚大な被害が生じるリスクです。 慢性リスクは中長期的な環境変化によるもの。地球平均気温の上昇や海面上昇など、長期にわたって環境が変化することによって恒常的な影響が生じるリスクです。

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移行リスク

移行リスクとは、世界全体が「脱炭素社会」へ移行するプロセスにおいて、法律・技術・市場などの「社会のルール」が変わることで生じるリスクです。 自然災害が直接襲ってくるわけではなく、社会の変化に対応できない企業は大きな経済的ダメージを受けると考えられます。 例えば、政府による二酸化炭素排出規制の強化や炭素税の導入により、従来の化石燃料を大量消費するビジネスの運用コストが著しく跳ね上がるケースなどが挙げられるでしょう。

さらには、脱炭素に貢献する革新的な新技術の台頭によって既存製品が淘汰される、環境配慮を重視する「エシカル消費」の高まりによって非環境配慮型の商品が市場で選ばれなくなることも、移行リスクの1つです。 また、脱炭素への取り組みが不十分な企業とみなされることで、ブランド価値が低下し、顧客離れや株価の下落を招くことも考えられ、移行リスクに備える必要性が求められます。

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私たちの暮らしに直結する気候リスクの例

気候リスクは、大企業や国の課題のように感じられるかもしれませんが、私たちの「家計・食卓・健康」といった毎日の暮らしにも関係しています。 生活の中で直面している代表的な気候リスクの例を、3つの視点から詳しく見ていきましょう。

住まいと資産のリスク

日本各地で猛暑や大型台風、ゲリラ豪雨による洪水被害が頻発しているため、損害保険会社が支払う保険金は年々高騰しています。 その結果、全国的に火災保険や水害保険の保険料率が値上げされ、家庭の固定費を重く圧迫することに。

他にも国土交通省などのハザードマップが更新され、浸水想定エリアや土砂災害警戒区域に指定された地域では、将来的にマイホームの価値が下落するリスクが高まっています。 浸水リスクが高い場所では住宅ローンの審査が厳しくなったり、保険への加入が制限されたりする可能性も指摘されているのです。

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食卓と家計のリスク

世界的な異常気象は、私たちが毎日食べる食品や嗜好品の価格を押し上げてしまいます。 記録的な猛暑や干ばつ、あるいは急な豪雨によって、米や野菜などの収穫量が激減し、スーパーの店頭価格が急騰。 主要生産国の歴史的干ばつや海水温上昇により、輸入に頼るオリーブオイル、コーヒー豆、チョコレートなどの価格が世界的に高騰し、手に入りにくくなる現象も考えられます。

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健康と働き方のリスク

地球温暖化に伴う「酷暑」は、私たちの身体や働き方にも直接的なダメージを与えます。 猛暑日や酷暑日が頻繁になった昨今では、室内・屋外を問わず熱中症で搬送・入院される方が急増しています。 これに伴う通院費や入院費といった個人の医療費負担の増加は、無視できないリスクです。

また、命を守るために夏のエアコンを24時間稼働せざるを得ず、家庭の電気代負担が跳ね上がる状況も大きなダメージと言えます。 建設業や農業、配送業といった屋外で働く人々にとっては、安全に作業できる時間帯が限られてしまい、生産性の低下、個人の収入減少労働負担の増加につながるという影響も生じています。

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気候リスクを回避するためにできること

このように、気候リスクは私たちの生活に直接な影響を及ぼす、大変な危機だと言えます。 気候リスクの脅威を避けるため、私たちが個人的にできることはあるのでしょうか。 身近に心掛けられることと言えば、リサイクルやリユースの意識が挙げられるでしょう。

リサイクルは分別を徹底することで、ごみの再資源化を促し、廃棄物を削減できる行動です。 しかし、リサイクルは品質の低下や処理の過程で二酸化炭素を排出してしまうといった弱点があります。 そのため、環境負荷を抑えるためにリサイクルよりも優先して行うべき行動がリユースとされています。

リユースは再利用を指す言葉で、マイボトルやエコバックを繰り返し使うことが代表的な行動です。 他にも、いらないモノが出たときはフリマアプリで売却する、必要なモノがあるときは中古品を選択するといった行動もリユースに該当します。 リユースは資源を無駄にすることなく、ごみ処理による二酸化炭素の排出も抑えられる行動です。 これ以上、気候リスクが深刻なものにならないよう、日々の生活の中でぜひリユースを意識してみてください。

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