タコの養殖を科学者たちが警告?激減を止めるには難しい問題が
タコと言えば、日本人の食卓では、馴染み深い海洋生物ではないでしょうか。 お刺身やタコ焼き、サラダなど、タコの活躍の場は多いですよね。 そんなタコは漁獲量が減少し、不安視されていましたが、困難と言われていた養殖に成功したことが注目され始めています。
しかし、タコの養殖に対し、科学者たちは危険である、と警告しているようです。 なぜ、タコの養殖が危険なのでしょうか。タコの養殖と問題点をご紹介します。
日本で消費量世界一のタコが激減
日本はタコを食べる文化が古くからあり、世界一の消費量を誇っていますが、実は海外の一部ではあまり積極的に食べられていないことをご存じでしょうか。 国によっては宗教上の理由から「デビルフィッシュ」と避けられ、ヨーロッパではスペインやイタリア、ギリシャ、南フランスなど一部では食べられますが、それ以外では食べられることはないそうです。 アジアでも韓国やタイでは食べられるくらいで、タコの収穫量が世界一である中国でも消費量は多くないようです。
しかし、近年はタコの漁獲量や輸入量が減少し、最盛期の三分の一程度だと言われるほど、タコが獲れていません。 多くの水産物は、養殖という手段で量を増やすことができますが、実はタコの養殖は難しく、このままではタコが高級食材になってしまうことも、有り得てしまいます。
もし、タコが獲れなくなってしまったら、日本の食卓に並んでいた、美味しいタコ料理が食べられなくなってしまいます。 タコ焼きにタコが入っていなかったら、悲しい気持ちになってしまう人は少なくないでしょう。
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難しかったタコの養殖が実現?
タコの養殖は昔から研究が続けられています。 日本だけではなく、オーストラリアやスペイン、メキシコ、イタリア、中国などで、タコの養殖は研究が行われていますが、いずれも商業用の養殖には成功していません。 何年もの間、タコの養殖は試行錯誤されていたようですが、安定した技術は確立されていなかったのです。
しかし、メキシコでは、オクトパス・マヤと言われる種類のタコの養殖に成功し、日本でも日本水産によって、マダコの完全養殖に成功しました。 水の流れや、餌だけではなく、餌の餌にまで気を配り、研究を重ねた上で、タコの養殖が実現されたのです。
そのため、養殖のタコが市場に出回るのも、時間の問題だと言われています。 これで一安心…と思いたいところですが、タコの養殖に反対する人も少なくはないようです。
タコの養殖に科学者たちが警告!
タコの養殖が悪影響になると声を上げたのは、外国の科学者たちでした。 タコが養殖されることは、人間の食料も確保できて、悪いことはないように思えますが、一概にそうとは言えないようです。 タコの養殖が悪影響になる、と科学者たちが主張する理由は、主に二つの問題がありました。
養殖の餌問題
まず一つは、タコに与える餌の問題が指摘されています。 タコは肉食であり、魚のたんぱく質や油脂を餌として摂取します。 また、タコの幼体は、生き餌しか食べない、という特徴もあります。 このようなタコの特徴は、彼らの餌の原料となる、海産物の漁獲量に影響を与えてしまうのです。
現在、すべての漁獲量の三分の一が動物の餌に利用されていると言われ、そのうち半分は海産物の養殖に使われているそうです。 タコは一生の間に、少なくとも体重の3倍の餌を必要とします。 もし、そんなタコが養殖されるようになったら、漁獲量が圧迫され、海産資源物の減少につながる恐れがあるのです。
飼育環境に難あり
もう一つは、タコの飼育環境を整えることが大変難しいと言うことです。 タコは知能が高く、問題解決能力があると知られています。その能力は、ビンの蓋を開ける、人間を個々に見分ける、パズルを覚えるなど、強い認識力がうかがえます。
そのため、飼育されている環境が嫌になった場合、タコたちが脱走を試みることも考えられるそうです。 また、タコは刺激が少ないとストレスが溜まるという特徴があり、そのせいで共食いや自らの腕を食べてしまうこともあります。
これらの問題点から、タコは持続可能な食料生産を目指すには、不適切であると言われているのです。
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持続可能な食糧生産を
漁獲量が減少し、養殖が試みられているタコですが、このようにいくつか問題があるようです。 タコを多く消費する日本人からすると、タコの養殖の話は期待してしまうものですが、もし科学者の指摘が完全に正しかった場合は、積極的に取り入れるべきだとは言い難いかもしれませんね。
目先のことだけで言えば、今まで通りタコが食べられることは嬉しいことですが、未来を見据えた上の場合は、タコの養殖は持続可能な食糧生産を妨げてしまうかもしれないからです。 現段階の問題がクリアされ、何も心配することなく、タコを味わう未来がやってくることを祈るばかりです。
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