世界終末時計とは?世界終了までの時間が2023年は過去最短

世界終末時計とは?世界終了までの時間が2023年は過去最短

いつか人類が滅びる日はやってくる…と不安に思う人は少なくないでしょう。 環境問題や災害はもちろん、いつか大きな戦争によって、人類は滅びてしまうかもしれません。

そんな人類が滅びる日を指し示す「世界終末時計」をご存じでしょうか。 それでは、世界終末時計とは、どのような時計で、何を基準に人類滅亡の時間を指し示しているのか、ご紹介します。

世界終末時計とは?世界が終わる日を示す時計

世界終末時計とは、1947年にアメリカの科学誌「原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)」の表紙絵として登場しました。

1947年は、日本への原爆投下から2年後のことで、冷戦時代の初期でもありました。 冷戦時代はアメリカとソ連による、核軍拡競争に向かっていたことから、人類にとって核戦争は大変な脅威でした。 そんな中、原子力科学者会報は、核戦争などによる、人類滅亡を午前0時になぞらえて、終末までの残り時間を後何分なのか、と指し示したのです。

「運命の日」の時計とも言われ、英語では「Doomsday clock」と表記されます。 原子力科学者会報は、終末時計の時刻修正を定期的に行っています。つまり、人類滅亡の危険性が高まれば、時間が進められ、危険性が下がれば時間が戻されるのです。 1989年の10月号からは、核兵器の脅威だけではなく、気候変動や環境問題も考慮され、終末時計の残り時間が決定されるようになりました。

あくまで終末時計は仮想的なもので、原子力科学者会報の表紙などに絵として掲載されますが、アメリカのイリノイ州にあるシカゴ大学には、時計のオブジェが存在しています。

1947年から2020年まで!世界終末時計の推移

それでは、世界終末時計が登場してから、世界の終わりを示す、0時までの時間はどのように推移したのでしょうか。

まず、1947年の創設時は7分前とされました。 ソ連の核実験成功を経て、アメリカとソ連が水爆実験に成功した、1953年には2分前を示します。

1963年には、アメリカとソ連が部分的核実験禁止条約に調印したことで、12分前まで戻りますが、1984年には米ソ間の軍拡競争が激化したことで、3分前まで進んでしまいます。 ソ連の崩壊やユーゴスラビア連邦の解体があった1991年は、17分前まで時計は戻りますが、それからは少しずつ時間が進んでしまいます。

2007年は温暖化の進行、2012年は福島第一原子力発電所事故を背景として原子力の安全性が懸念されたことから、2017年はトランプ大統領の核廃絶や気候変動対策について消極的な発言をしたことから、などなど…これらを理由に、時計は0時へと進んでしまいました。

しかし、2020年には世界終末時計を創設してから、最も0時に近い時間を指し示してしまうことになります。

2020~2022年は世界終末時計が残り100秒へ

2020年の1月23日、原子力科学者会報は、世界終末時計の残り時間を発表しました。 それは過去最短である「100秒」でした。

前回、時計の針が動いたのでは2018年のことで、北朝鮮が行う核開発の影響による、核戦争への懸念から、2分前となりました。 それがさらに20秒進んだ理由は、いくつかあるようです。

まずは、弾道ミサイル、巡航ミサイルをすべて廃棄することを目的とした「中距離核戦力全廃条約」の失効による核軍縮の不信感です。 次に、アメリカとイラン、またはアメリカと北朝鮮の対立。 さらに、各国の気候変動に対する関心の低さなどが挙げられていました。

2021年は希望的な要素とし、バイデン政権の誕生により、アメリカが温暖化対策のための「パリ協定」に復帰したこと、ロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)の5年間延長合意が挙げられています。 しかし、核兵器削減や気候変動に対応する具体的な進展が見られないこと、新型コロナウイルスの蔓延に対し準備不足であることを指摘し、2021年も去年と同じく、過去最短の「100秒」と発表されました。

2022年についても過去2年と同じ残り100秒と発表されています。 その理由としては、北朝鮮のミサイル発射やウクライナ情勢など世界の脅威が増加したことが挙げられました。 他にも、核戦争や気候変動の対策が不十分であること、新型コロナウイルスの蔓延、度重なる変異株の出現があります。 原子力科学者会報は、3年連続で終末時計が最も短くなったことは「世界は非常に危険な瞬間に立往生したまま」と強く警告しました。

2023年はさらに10秒短く

2023年の1/24(火)、2023年の終末時計が発表。 結果は、2022年からさらに10秒短くなった「残り90秒」でした。 理由としては、以下のものが挙げられています。

  • ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴う核兵器使用のリスク
  • 気候変動がもたらす継続的な脅威
  • 新型コロナウイルスなどの生物学的脅威に関するリスク低減

これに対し、有識者たちは「指導者たちが危機意識を持つこと」「指導者たちの行動」「国際外交」の重要性を訴えました。

実際、90秒後に人類が滅亡してしまう…と考えたら、とても恐ろしいことではないでしょうか。 それだけ、今の人類は危機的な状況である、ということを認識しなければならないのかもしれません。

世界終末時計を進ませないために

このような危機的な状況の中、私たちにできることは、決して多くはありません。 企業や国が積極的に取り組まなければ、避けられないようなことばかりでしょう。

しかし、いざ多くの人が協力しなければならない状況になったときのためにも、私たちはこのような状況であることを知っておかなければなりません。 もちろん、ゴミの分別やエネルギーの無駄を出さないことも、解決に至る手段の一つです。

ぜひ、世界がどのような状況なのか知って、自分に何ができるのか、考えてみてください。

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