幸運を呼ぶピンクイルカの減少理由とは【絶滅動物シリーズ】

幸運を呼ぶピンクイルカの減少理由とは【絶滅動物シリーズ】

珍しい動物に出会えたらご利益がある、という言い伝えは少なくありません。 そんな動物の中に、幸運を呼ぶと言われるピンクイルカが存在しています。

しかし、ピンクイルカは絶滅が危惧されている動物の一種です。 ピンクイルカとはどういった動物なのでしょうか。また、なぜ絶滅に迫られることになったのでしょうか。

幸福を呼ぶ?絶滅が危惧されるピンクイルカとは

アジアの一部では幸運を呼ぶと言われる、ピンクイルカとはどのような動物なのでしょうか。 実は2種類のピンクイルカが存在します。ピンクイルカと呼ばれる、アマゾンカワイルカとシナウスイロイルカをそれぞれご紹介します。

アマゾンカワイルカ

アマゾンカワイルカはその名の通り、南アメリカのアマゾン川水系に生息する固有種です。 3,500万年前に生きていた原始的なクジラと同じ特徴を持つことから「生きた化石」と呼ばれています。 成体の体長はオスで約2.8メートル、メスで約2.3メートルで、現生のカワイルカとしては最も大きい種類です。 体色はピンクだけでなく、暗い茶色、クリーム色などの場合もあります。

また、アマゾン川流域ではアマゾンカワイルカは「若くて美しい男性に化ける」という伝承があり、夜中に現れて乙女を妊娠させ、朝になるとイルカの姿に戻って川に戻っていくそうです。イルカという可愛い外見をしているのに、何ともけしからん男ではないでしょうか。

シナウスイロイルカ

シナウスイロイルカは東シナ海やインドネシア、オーストラリア北部などの浅い海域に分布しています。 成体の体長は2メートルから3メートルほどで、生まれた直後も1メートルほどの大きさがあります。 生まれたばかりは黒や灰色に近い色をしているシナウスイロイルカですが、成長するに従ってピンク色へと変化します。

香港ではシナウスイロイルカを「中華白海豚」と呼び、マスコットのように扱われ、ドルフィンウォッチングが行われています。

ピンクイルカが絶滅に追い込まれた理由とは?

アマゾンカワイルカとシナウスイロイルカという2種類のピンクイルカですが、どちらも絶滅危惧種です。 ピンクイルカはなぜ絶滅危惧種になってしまったのでしょうか。

アマゾンカワイルカの減少理由

アマゾンカワイルカはいくつかの理由によって、その個体数を減少させることになります。 しかし、そのほとんどは人間に開発によるものと言えるでしょう。

まずはダムの建設によって生息地が分断されてしまったこと。金採掘による水銀中毒。魚を誘き寄せるために殺害されるなど。 ただ、多くのカワイルカが絶滅の危機に瀕していますが、アマゾンカワイルカは最も安定して生息している種だとも言われています。

シナウスイロイルカの減少理由

香港でシナウスイロイルカは、とても愛されていると言えますが、同時に危険な場所でもあります。 香港の近海では密漁や、埋め立ての増加、海上交通の発達がシナウスイロイルカの生息に影響を与えているのです。 シナウスイロイルカは1つの海域から離れることは少ないため、工業排水、農業排水、生活排水による汚染の影響を受け、死骸からは水銀などの重金属、PCBやDDTなどの塩化有機物が検出されています。

また、香港国際空港の建設によって、シナウスイロイルカが減少されていることも確認されています。

ピンクイルカが香港に帰ってきた!原因はコロナか

幸運を呼ぶピンクイルカは減少しつつあり、特に香港近海ではそれが顕著です。 しかし、そんな香港近海にピンクイルカが増加したという調査結果が、2020年の9月に報告されました。 それは同年3月と比較すると30%も増加したというほど大きな変化でした。

これは何が原因なのかと言えば…新型コロナウイルスの感染拡大による、人間の活動が減ったことです。 コロナ禍によって、2月以降に香港とマカオを結ぶフェリーの運航が停止し、水上交通量が減少。 それがピンクイルカにとって、過ごしやすい環境となり、増加へとつながったのです。

このピンクイルカの回復は、年研究する研究者にとっても「これだけ劇的な変化は見たことがない」というほどでした。 人間活動がどれだけ動物たちに影響をもたらしているか、わかりやすい例と言えるかもしれませんね。

あわせて読みたい

関連タグ

カテゴリー

人気の記事

  • 先月
  • 全て

人気のタグ

おすすめの記事

スペシャルコンテンツ

関連リンク