エピオルニスとは?伝説の巨大鳥のモデル【絶滅動物シリーズ】
鳥と言えば、軽やかに青空を飛んでいるイメージがあります。 きっと、空を自由に飛び回るには軽い体でなければいけません。 小さな鳥として知られる、キクイタダキは1円玉が3枚程度の重さしかないようです。
体重が軽いイメージの鳥ですが、逆に一番体重が重い鳥とはどんな鳥なのでしょうか。 史上最も重たい鳥と言われるのが、エピオルニスですが、既に全滅しています。
エピオルニスとはどのような鳥で、どのように絶滅してしまったのでしょうか。
※写真はイメージとなり、実際の動物と異なる場合があります。
エピオルニスとは
エピオルニスはアフリカのマダガスカル島に生息していた巨大な鳥です。どのような生態の鳥なのでしょうか。
エピオルニスは巨大で重い鳥!
エピオルニス(Aepyornis)は「最も背の高い鳥」という意味がありますが、実際には最も体重の重い鳥でした。 もちろん体も大きく、最大で3.5mのものもいたそうです。 体重は推定で500kgもあり、このスケールは先史時代に生息していた鳥類、ドロモルニスに匹敵すると言われています。
エピオルニスは卵も巨大
エピオルニスは、卵もかなり大きく、ダチョウの卵の7倍もあったそうです。 長さは34センチ、重さは10キロもあったと考えられています。 これは今まで見つかった卵の中で最大であり、鶏卵の160倍となります。
エピオルニスは飛べない鳥だった
エピオルニスは見た目が巨大で恐ろしい姿でしたが、イチゴや木の根などの植物を食べて暮らしていました。 首が長いことから、地面に近いところから高くにある木の実まで食べることができました。
流石にその大きな体で空を飛ぶことはできなかったようですが、エピオルニスの先祖は空を飛んでいたと考えられます。 なぜ、飛べなくなってしまったのかは、マダガスカル島に捕食者がいなかったことから、飛ぶ必要がなかったために、翼が退化してしまった、という考えが有力です。
エピオルニスは伝説のロック鳥のモデル
エピオルニスは、その巨大な姿から、伝説の巨大鳥として知られる「ロック鳥」のモデルではないかと言われています。
ロック鳥は、中東やインドの伝説に登場する鳥で、ゾウを3頭持ち去って、ヒナに食べさせるくらいに、巨大で大変な力を持っている鳥として描かれています。 千夜一夜物語(アラビアンナイト)に登場することでも有名で、イスラム世界やアジアでは広く伝わっています。
有名な冒険家であるマルコポーロは東方見聞録の中で、マダガスカル島に巨大な鳥が存在し、それこそが伝説の生き物であるグリフォンではないか、と語りました。 それを聞いた多くの人が、マダガスカル島にロック鳥がいる、とも考えたそうです。 マルコポーロが語ったその鳥こそ、エピオルニスだったと考えられます。
エピオルニスの絶滅理由
エピオルニスは無人島であったマダガスカル島で独自に進化し、繁栄していたと考えられています。 しかし、紀元前2000年から1000頃に人間がマダガスカル島に移住してくることになります。
人間により森が開拓され、エピオルニスは狩猟の対象となります。 マダガスカル島の環境の変化は、エピオルニスを減少させることになります。 エピオルニスは大きいことから、人間にとっては、1羽でも仕留めれば、多くの食料が手に入ります。卵も巨大であるため、一度で多くの栄養を確保できることになるのです。
そのため、エピオルニスは次々と狩られ、減少してしまいます。ヨーロッパの人間が本格的にマダガスカル島までやってきたのは、17世紀だったと言われていますが、その頃には既にエピオルニスは全滅していたと考えられます。
しかし、1840年頃にもジャングルの中で、稀に巨大な卵が発見された、という記録があり、極稀にその親鳥の姿が見られる、とも綴られていたそうです。
エエピオルニスから自然との付き合い方を考える
エピオルニスは人間が多くの記録を残す前に絶滅してしまったと考えられます。 それでも、人間の活動がエピオルニス絶滅の原因の一つであることは間違いありません。
きっと、知らぬ間に人間が滅ぼしてしまった動物は多く存在することでしょう。 エピオルニスのような動物が増えることがないように、私たちは自然との付き合い方をさらに考えていく必要があるでしょう。