グリーンインフラとグレーインフラの違いとは?メリット・デメリットや具体例をわかりやすく解説
私たちの生活を支えるインフラですが、これまでと違った新しい形が注目されています。 それがグリーンインフラですが、これまでのインフラと何が違うのでしょうか。 グリーンインフラの特徴を始め、なぜ注目されているのか、その理由をご紹介します。
いま注目されている「グリーンインフラ」とは
ここ数年で、自治体のまちづくり計画や企業のSDGsレポートで「グリーンインフラ」という言葉が増えていると感じたことはないでしょうか。 グリーンインフラとは「自然が持つ多様な機能を、防災やまちづくり、環境保全に賢く活用しよう」という、世界中で注目されている新しいインフラの考え方です。
今の社会は気候変動による災害や熱ストレス、持続可能な食料生産、エネルギー生産など、さまざまな問題を抱えています。 しかし、これらは本来自然が持つ力が失われたために、問題化したものばかりです。 そのため、植物や土、森、川といった「自然の力」を街のインフラとして取り入れ、従来のコンクリートだけに頼らない「持続可能な新しい街の形」を作ろうとする動きが急速に広がっています。
もともとは1990年代のアメリカで誕生したグリーンインフラですが、2010年代以降にEUで広がり、日本の行政分野では国土形成計画(2015年8月閣議決定)で初めて登場しました。 さらに、2019年に国土交通省の主導で「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」が設立され、民間企業や地方自治体が一体となって都市緑化や防災への活用を進める潮流が、国内でも広がっています。
それでは、グリーンインフラはこれまでのインフラと何が異なるのでしょうか。
グリーンインフラとグレーインフラの違い
グリーンインフラの対義語として、これまでのインフラを表す「グレーインフラ」という言葉があります。 グリーンインフラとグレーインフラは、どのような違いがあるのか見てみましょう。
| 比較ポイント | グレーインフラ(従来のやり方) | グリーンインフラ(これからのやり方) |
|---|---|---|
| 主役となる素材 | コンクリート、ダム、堤防、下水道 | 植物、土、森、湿地、河川などの「自然」 |
| イメージカラー | コンクリートの「灰色(グレー)」 | 植物や自然の「緑(グリーン)」 |
| 防災のアプローチ | 構造物の高さや強度で 暴風雨を「ブロックする・抑え込む」 |
自然の吸水力や減災機能を活用して 被害を「受け止める・和らげる」 |
| 得られる機能 | 防災・排水など「特定の目的」に特化 | 防災・環境保全・憩いの場など「一石多鳥(多面的)」 |
これまでのグレーインフラは、ダムやコンクリートの堤防、下水道など、人工物による強固な防災・都市設備となり、即効性があって狭い土地でも、計算通りの高い防災効果を発揮します。しかし、建設・維持費といったコストが莫大にかかり、生き物の住処を奪って景観や地域の魅力を損ねるといったデメリットが挙げられます。
対して、グリーンインフラは建設・維持コストを抑えやすく、防災のほか、ヒートアイランド現象の緩和、動物の保護、住民の憩いの場など、多くのメリットが得られます。 デメリットとしては自然が育つまでに時間がかかること、コンクリートのように「確実にこれだけの雨水を防げる」という100%の計算が難しい点が挙げられます。
なぜグリーンインフラが注目されているのか
さまざまなメリットをもたらすグリーンインフラですが、なぜ今になって注目されているのでしょうか。 グリーンインフラが注目されている理由をご紹介します。
グレーインフラの限界
高度成長期以降、日本も巨大なダムや堤防、コンクリート、下水道といった「グレーインフラ」を整備し、多くの災害を防いできました。 しかし、そんなやり方に限界が見え始めています。 気候変動の影響により、近年は「線状降水帯」の発生やゲリラ豪雨の回数が激増していますが、従来のグレーインフラは「過去数十年のデータ」を基に設計されているため、想定を超える大雨が一気に降ると、街が冠水してしまいます。
他にも、戦後から高度成長期に作られたコンクリートインフラは、今まさに一斉に寿命を迎えている、という点もグレーインフラの限界と言えるでしょう。 人口減少と老朽化が進む今の日本において、すべての巨大施設を巨額の費用をかけて最新のものに作り直すことは、自治体の財政的にも難しく、新しい方法が求められ、グリーンインフラが注目されているのです。
「自然のクッション」で街を守る時代へ
グレーインフラの代わりに自然の力をクッションとして使い、雨を和らげようという発想からも、グリーンインフラは注目されています。 土や緑地は雨水をスポンジのように吸い込み、一時的にため込む性質があります。 そのため、アスファルトで固められた場所に自然を取り戻すことで、街全体で雨水を吸収し、下水道や川が一気に溢れ返る水害を防ぐ機能が得られるのです。
また、グレーインフラをすべて無くす、ということではありません。 コンクリートの頑丈さと、自然のグリーンインフラが持つ「衝撃を和らげる力」を組み合わせ、想定外の豪雨に対しても壊れにくい、強靭な街づくりが目指されています。
環境や経済を豊かにする効果も
コンクリートの壁や下水管といったグレーインフラは「水を防ぐ・流す」という1つの目的のためだけに存在します。 しかし、グリーンインフラは防災だけでなく、私たちの暮らしや経済に複数のプラス効果もらすという特徴があります。
例えば、街に緑や水辺が増えるため、生き物たちの住処が戻り、植物の蒸散作用によって夏の酷暑やヒートアイランド現象を和らげる効果が得られます。 さらには美しい公園や緑道は、住民の心身を癒す「憩いの場」となり、緑豊かな住みやすい街として評価が上がれば、観光客の増加や移住者の獲得、地価の上昇など、地域の経済活性化にも大きく貢献するでしょう。 こういった多面的なメリットが注目され、グリーンインフラが評価されているのです。
グリーンインフラが求められる世界で何ができるか
このように、グリーンインフラは自然の力を活用し、より豊かで持続可能な暮らしを実現しよう、という考えです。 しかし、私たちの生活は自然に悪い影響を与えてしまう場面が多々あります。 自然に悪影響を与えないため、私たちが注意できることはあるのでしょうか。
身近な行動としては、リサイクルとリユースが挙げられます。 リサイクルは分別を徹底することで、ごみの再資源化を促す行動として知られています。 しかし、再利用を意味するリユースは、リサイクルよりも環境負担を抑えられる行動として有名です。 なぜなら、リユースはものを繰り返し使う行動であるため、そもそもごみを出さないという特徴があるからです。
使わなくなったモノは知人に譲る、といった行動の他、フリマアプリで中古品を売買することもリユースに該当します。 身の回りを整理して、いらないモノが出たときは、ぜひリユースを選べないか考えてみてください。










